世界最大級のオーガニック見本市”BIOFACH”2022″レポート② 24,000人を超える来場者で大盛況

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7月26日から29日の4日間に渡り、ドイツ・ニュルンベルクにて世界最大規模を誇るオーガニックフードとナチュナルコスメの国際見本市「BIOFACH / VIVANES(ビオファ/ヴィヴァネス)」が開催された。2022年のメインテーマ「Organic.Climate.Resilience」を掲げた同見本市の現地レポートの第二弾をお届けする。

コロナの影響を受け、今年だけ7月という夏開催となったが、世界94カ国から2,276社が出展し、137ヵ国から24,000人を超える来場者数を記録、大盛況のもと幕を閉じた。会場となった「ニュルンベルク・メッセ」は、9つのメインホールと会議室などがある別館、広大な中庭、レストランなどを併設した巨大な敷地面積を誇る。同じ敷地内にありながらフードの「ビオファ」とコスメの「ヴィヴァネス」間は移動のためにバスが巡回していたほどだ。9ホール中2ホールが「ヴィヴァネス」の会場となっており、残りの7つ全てがオーガニックフードの展示会場となっていた。

驚くのは、まずその規模と各メーカーごとに見せるこだわり抜いた展示方法である。1ホールごと食品の種類別や国別に分かれて出展されていたが、肉、パン、米、乳製品、シリアル、コーヒー、紅茶、アイスクリーム、チョコレート、調味料、健康飲料、ワインなど、”ない食品はない”と断言できるほどの充実。写真とともに詳しく説明していきたいが、極端な話をすれば、イタリアのオリーブオイルのメーカーだけで広大な1ホールが丸々埋まるほどの規模だ。

デンマークの出展ブース
フィンランドの出展ブース。どこの国か一目で分かるように国名や国旗が掲げられている。
ほとんどの出展ブースにおいて、必ずと言っていいほど、試食や試飲が可能となっており、人気メーカーには常に人集りが出来ていた。
ドイツでもチーズやヨーグルトが人気のトルコの乳製品メーカー「GAZI」の出展ブース内に設置された試食コーナー

会場内に設置されているカフェやレストランと見間違えるほどインテリアや商品陳列にこだわりを見せるメーカーが多数なことにも驚いた。

絶品だったスイスのアイスクリーム。デパ地下やスーパーと同様に一口サイズで提供される。
ドイツ有数のオーガニック食品メーカー「BIOLAND」が出店していたカフェ。こちらは有料。
メディアからの注目度も高く、至るところでインタビュー収録が行われていた。
ドイツの農業機械と製粉機のメーカー「Treffler」

出展していたのは食品だけに限らず、関連機器メーカーも多かった。

カフェ同様に各ホールに広々した休憩スペースやミーティングポイントが設置されており、いつでもどこでも休むことができて非常に便利だった。

「BIOFACH」は、1990年から開催されている歴史と実績を誇る老舗のオーガニックフード見本市だ。先進国であるヨーロッパにおいても近年のオーガニック需要は目覚しく、SDGsとともに今後更なる発展が予想される。その背景には、気候変動、サステナビリティー、世界の食料安全保障といった現代における深刻な社会問題も大きく関わってきているからではないだろうか。ドイツ連邦経済協力開発省(BMZ)の輸入促進デスク(IPD)では、エジプトのハーブやスパイスメーカーなど、発展途上国や新興国のオーガニック生産者を「BIOFACH」へ招き、ヨーロッパの取引先を見つけることによって、持続可能なビジネス関係を確立するためのサポートを行っているとのこと。

世界に広がるオーガニックフードだが、たとえ、良質なオーガニック食品を生産していてもそれを世界に知らせる力や経済力がなければ埋もれてしまうだけだ。筆者自身もドイツに長年住みながら「BIOFACH」の存在を知らなかった。今回は、JETROベルリン事務局から招待をもらい、自分の目で見ながら取材することによって世界のオーガニック事情を知ることができ、それを伝えるきっかけを得れた。

利益重視の大手企業が牛耳るオーガニック市場ではなく、本当に必要な人たちに適切な形と価格で届いて欲しいと切に願いながら、今後も同行を追っていきたい。

ロシアによるウクライナ侵攻で危険な状態が続いている中、ウクライナは特別ブースが設けられ、多数のオーガニックメーカーが出展していた。

Text by Kana Miyazawa (Berlin)