ゼロウェイストを目指すKantine(食堂)がベルリンの撮影スタジオにオープン 

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24,000平方メートルもの広大な敷地を誇る「Atelier Gardens 」は、4つのフィルムスタジオ、ダビングスタジオ、ミキシングスタジオ、ワークショップスペース、ガーデンなどを含む撮影スタジオだ。映画やテレビドラマの撮影で使用されることが多く、100年以上の歴史を誇り、映画のパイオニアたちの拠点として知られている。

設立当初の「UFAスタジオ・テンペルホーフ」から「ベルリン・ユニオン・フィルム」または「BUFA」と名称が変わり、テンペルホーフ空港跡地や歴史ある映画やテレビを象徴する敷地の再開発を担うプロジェクト団体「Atelier Gardens」へと引き継がれ、現在に至る。「Atelier Gardens」は”Celebrating Soul, Soil, Society”をモットーに掲げ、都市における再生生活のための総合的なアプローチへの野心と、原則的に人間は地球上の生命に役立つ貢献ができるという信念の元にさまざまな活動を行っている。

同スタジオ内に新たにオープンしたのが「Roots Radicals」が手掛ける”Kantine”だ。Kantineとはドイツ語で“食堂”の意味を持ち、スタジオで働くスタッフや訪れた人に良心的な値段でランチを提供している。廃棄された野菜や果物が主な食材となっており、栄養バランスの取れたメニューを日替わりで食べることができる。広々した店内は、ベルリンらしい剥き出しのコンクリートに木材のテーブルが並び、シンプルだけど温かみを感じさせる内装はまさに“食堂”。美味しい食事と共にほっこりした気分に浸れるのも魅力の1つだ。

「Roots Radicals」のファウンダーの一人であるMonica Kisicは「私たちが命を吹き込んだおいしい食べ物で人々が再び繋がることができる空間を持つことができました。この場所で他のコミュニティとともに成長し、持続可能な未来を作るための使命を果たせることに興奮しています。」と、語っている。

この日は、アンデス山脈地域の郷土料理として知られる¨Locro”。カボチャとコーンの甘さが絶妙。サイドメニューのピクルスとの相性も抜群。

「Roots Radicals」は、循環型レストランとして機能しており、生分解性のおむつと赤ちゃんの排出物から堆肥作りを行っている「DYCLE」と最低限のコストと土地で持続可能な有機栽培法を実施している「Tiny Farms」とパートナー提携し、両者の協力を得て食品廃棄物の削減や食品のアップサイクルに尽力している。

「DYCLE」が監修する「Roots Radicals」のコンポスト。生ゴミが可能な限り出ないように工夫されているため、驚くほど廃棄が少ない。

また、ランチの提供だけでなく、ワークショップやケータリングサービス、店内にてアップサイクルによるオリジナル食品の販売も行っている。「Roots Radicals」の製品はオンラインとクロイツベルクのMarkthalle Neunでも購入可能とのこと。ピクルス、発酵食品、ソース、スープ、ビネガー、フルーツジャム、スパイスといった保存食がメインとなっている。

「Atelier Gardens」のガーデン脇に設置されているスタジオ専用のコンポスト

同じ思想を持ったそれぞれの分野におけるスペシャリストたちが一堂に集結し、持続可能な世界を作るために日々奮闘している。ここはまさに、循環型社会の理想的なビジネスモデルであり、学ぶべきことが詰まっている場所だ。

次回は「DYCLE」の活動にフォーカスしたレポートをお届けします。お楽しみに!!

Text & Photo by Kana Miyazawa (Berlin)