フェスやイベントもエシカルに。エレクトロニック・ミュージックの祭典、ADE(Amsterdam Dance Event)初日の「ADE GREEN」

Foto: Mark Richter ©

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アムステルダムにて年に一度開催されるエレクトロニック・ミュージックの祭典「ADE(Amsterdam Dance Event)」。1990年代に500人規模ではじまってから回を重ねるにつれ、2017年には40万人の来場者が訪れるまで大きくなりました。街中いたるところに点在する会場にてさまざまなコンテツが行われています。夜はもちろんクラブや特設会場(その数約120!)でのパーティが目白押しですが、昼の時間帯には各種カンファレンスや機材系ワークショップ、アート・インスタレーションやプログラミングのマラソン、ハッカソンまで行われています。2017年は10月18日から5日間に渡って開催されましたが、中でも初日に行われた、サステナブルな観点からフェスや音楽業界を考える「ADE GREEN」をレポートします。

Foto: Jorn Baars ©

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ライツェ広場広場近くのDeLaMar Theaterにて、朝の10時から20ほどのパネルディスカッションやワークショップが開催されました。
1つ目に参加したのは、「A Greener Festival」のプレゼンテーショントーク。
Sustainability Management In a Nutshell – The ‘How To’ Guide In One Session From The Founder of a Greener Festival Presented by City of Amsterdam
A Greener Festivalは、世界中のイベントやフェスティバルが、環境に配慮して開催できるようサポートする非営利団体。ゴミ、水まわり、電力、会場の使い方、交通などについて、どのような方法を取っているのか評価していきます。年に一度のアワードもあり、過去にはイギリスのグラストンンベリー、ポルトガルのBoom Festival、オランダのDGTLなどが参加しています。また、フェスだけでなくイベントや会場にも対象を広げ、イベントに関わる人のためのカンファレンスConfexや、モスクワフラワーショーなども過去に参加しました。2006年にイギリスで設立されてから、欧米を中心に400以上のフェスティバルやイベントを評価し、アドバイスしてきました。
http://www.agreenerfestival.com/

Foto: Jorn Baars ©

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このプログラムは、アムステルダム市のサステナブル・プロジェクトリーダーのマラさんがホストをして、A Greener Festivalの共同設立者クレア・オニールさんを迎えてのトークでした。
クレアさんは大学時代に統計学や音楽マネジメントの勉強するかたわら、プライベートでイギリスの数百人〜数千人規模の野外パーティ参加していましたが、パーティが終わった後の会場にはゴミが少なく、分別もよくされていました。かたや数万人規模の音楽フェスへいったところ、パーティ後の会場は置き去りにされたテントから食べ物のカスまで、ゴミであふれていました。
「なにか自分にできないか?」と強く思い、WEBを立ち上げ、フェスティバルと環境に関するTIPSやリサーチ結果をアップしていきました。すると「もっと教えて!」という声が大きくなったので、より多くの専門家を巻き込んで、20あまりのチェックリストを作りました。それが元となって、現在のA Greener Festivalの自己チェックリストが出来上がっています。
下記はA Greener Festivalの仕組みの図です。

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参加申し込みをすると、セルフチェックフォームが届きます。「環境に対しての取り組みポリシーは?」「資材の調達はどれだけ環境に配慮しているか?」ほか、ゴミの処理方法、会場までの交通等、質問に答えて、イベント開催1ヶ月前までに提出します。各専門家が実際にそのイベントへ出向き、会場内を見て回り、最終評価をします。

Foto: Jorn Baars ©

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クレアさんは、現役のエアリアル(空中演技)パフォーマーとしても活躍していますが、「環境に優しくすることで、クリエイティビティを損なうことはない」と話していた言葉が印象的でした。
トーク終了後、クレアさんに話しかけてみましたが
「まだアジア、日本での参加イベントはないから、ぜひ参加してみてほしい」とのことでした。
音楽フェスティバルだけでなく、あらゆるイベントやベニューも対象となっています。

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もう一つ気になったのは、ロンドンに3つのバーを持つMr Lyanプレゼンツのサステナブル・ドリンクのトーク。バーのマネージャーのマヤとジェームスがロンドンから来ていました。
Shaking Things Up: How To Serve a Sustainable Drink by the Internationally Awarded Team From Mr Lyan UK

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ゲストを喜ばせることが好きだったMr Lyanはシェフの道へと進み、やがてバーの世界に魅せられ、INTERNATIONAL BARTENDER OF THE YEARをはじめ、数々の賞を受賞しました。2013年に最初のバーWhite Lyanをオープンさせましたが、
「フルーツも、氷も、一切生モノを使わない」というユニークなコンセプトを持つ世界で最初のカクテルバーでした。ゴミがほかのバーに比べて大幅に少ないエシカルなバーです。

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フェスティバルにおいてお酒は楽しみの一つですが、ことカクテルに関していえば、レモンやライム、ミントやベリーなどの飾りやアクセントは、凄まじい量のゴミとなります。たとえばストローはアメリカだけで、1日500万本が捨てられているそうです。そんな実態があることから「ゼロ・ウェイスト・カクテル」の発想が生まれました。Mr Lyanが中心となり、「Trash Tiki」プロジェクトを始めました。

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「水のムダ、冷蔵庫や店内のライティングのムダを省き、なるべく地元の素材(運送の短い)を使う。そして、バーから出る副産物を再利用する」というコンセプトです。
ゴミを減らすために、元来のカクテルのように数多くの材料を混ぜるのをやめて、どれだけ原材料を絞っていい味を引き出せるかにフォーカスしました。
「エシカルだからいって、味やフレイバーの楽しみを犠牲にしていいわけじゃない」と工夫と試行錯誤を重ねました。
たとえば、使い終わったグレープフルーツの皮やライムの皮をシロップに漬けてフレイバーを作ったり、ジュースを作ったあとのフルーツを煮込んで再び息を吹き込んだり…。
観客からは「食品衛生の観点からリユースは大丈夫なの?」という質問もありましたが、もちろん飲食のプロとしてその辺りの問題はクリアできているそうです。イベント出店にも意欲的なので、いつかPOP UPバーでカクテルを実際楽しんでみたいです。