ベルリン唯一で絶大な人気を誇るヴィーガンドーナツ屋「Brammibal’s Donuts」が二号店をオープン。
オーガニック先進国であり、ヴィーガンやベジタリアンといった菜食主義者が非常に多いことでも有名なドイツ。それは食だけでなく衣食住においても関心が高いと言えますが、突出しているのはやはりカフェやレストランといった飲食店になります。特に首都ベルリンにおいてはここ数年様々なスタイルの店のオープンラッシュが続き、イベントやスタートアップも含めると数え切れないほどに増えています。
”街を歩けば菜食主義者向けのカフェやレストランに当たる”そう言えるほどベルリンで暮らす人々にとってライフスタイルの一部になっているのです。そんなベルリンで今注目したいのが、二店舗をオープンさせたばかりのヴィーガンドーナツ専門店”Brammibal’s Donuts”です。BramさんとJessicaさんが”Brammibal’s Donuts”をスタートさせたのはわずか3年前、もともとフードマーケットやヴィーガンイベントに出店していた同店は話題を呼び、徐々にファンを増やしていきます。そして、2016年の5月にノイケルン地区の川沿いでフリーマーケットや飲食店で賑わうMaybachufer通りに一号店をオープンさせました。マーケットから店舗を持つことはベルリンドリームの一つとなっていますが、立ち上げからわずか1年で路面店をオープンさせるというサクセスストーリーは滅多にありません。
その勢いは止まることを知らず今年2月にプレンツラウアーベルグ地区のこれまた飲食店が立ち並ぶDanziger通りに2号店をオープンさせました。二店舗目となった場所はアイスクリームショップの跡地でカウンター席のみの小さな規模ですが、バックヤードに大きなキッチンがあることが一番の決め手になったようです。良質で美味しいドーナツを提供したいという思いから始まった小さなドーナツ屋さんは今や行列ができ、より大きなキッチンでなければ生産が追いつかなくなるほどの人気店へと成長したのです。
ピンクを基調としたキュートな店内には、常時12~14種類のドーナツがショーケースに並び、季節に合わせた食材を使用したフレーバーが1ヶ月ごとに変わって登場します。一つ一つ形が微妙に違ったり、フレーバーやトッピングがまばらなのは全て手作りだからなのです。人の手によって作られた温かみとかわいらしくておいしそうな見た目はヴィーガン以外の人々の心も掴んでいます。
ドーナツといえば砂糖がたっぷり入った小麦粉ベースの生地を油で揚げ、不自然な色の合成着色料をフレーバーにした甘いお菓子の代表ですが、その常識を変えたのがBrammibal’sのドーナツなのです。着色料や防腐剤を一切使用していないだけでなく、生地から全て手作り、ココナッツミルク、植物性マーガリン、さとうきびの絞り液を加熱して作られたローシュガーなどを使用し、高純度のピーナッツ油で揚げています。
こちらは人気ドーナツのハニー・コンボとバナナ・ピーナッツ・ファッジ。一つ2.5ユーロとパン屋で売られているドーナツよりは少し高めですが、大きめのサイズで油っぽくなく甘過ぎることもなく、ふわっとした感触と自然な甘さが口の中に広がり、同時に幸福感を味わえます。
こだわっているのはドーナツだけではありません。一号店の近くにあるロースター”Populus Coffee”から仕入れたこだわりの豆で挽いたコーヒーを提供しており、ミルクはオートミルクやからす麦ミルクといった植物性ミルクのみを使用しています。Populus Coffeeは生産背景がきちんと見えるフェアトレード農園のみと提携しており上質な有機栽培の豆のみを取り扱っています。地元にある同じ思想を持つ業者同士が提携を結ぶのはドイツならではのビジネススタイルの特徴と言えるでしょう。Brammibal’sオリジナルコーヒー豆を店内で購入することも可能となっており、店内と同じくピンクのパッケージデザインはオリジナルグッズと共に揃えたくなるかわいさです。
また、自らタッパーを持参して持ち帰るお客さんもいますが、エコ先進国であるドイツでは無駄な資源ゴミを出さないためや節約のために普通の行為であり、店舗側も確実に対応しています。ドーナツは子供から大人までみんなが好きなスイーツですが、Brammibal’sのドーナツは高品質でヘルシー、サスティナブル、フェアトレード、地産地消などといった地球にも人にも優しいいろんな要素が詰め込まれているのです。非常に人気なため夕方には残り少なくなってしまいますが、ベルリンへ訪れた際には是非とも足を運んで欲しいオススメ店です。
Brammibal’s Donuts
www.brammibalsdonuts.com
Author: 宮沢香奈/Kana Miyazawa
ライター、コラムニスト、コーディネーター
長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。
セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーを取材するなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’s FUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。
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