ベルリンなどヨーロッパで人気のフードシェアリングアプリ「Too Good To Go」とは?

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現在、ヨーロッパ各地を中心に「Too Good To Go」というアプリが注目を集めている。

「Too Good To Go」とは、レストランやベーカリーなどの売れ残った食事や賞味期限間近な食品を通常の販売価格より安く提供するフードシェアリング専用のアプリ。在庫を抱える店舗と低価格で食事をしたいという消費者のニーズに答えるプラットフォームとして需要が高まっている。

ユーザーは、オーガニック食品やホテルのブレックファーストなどを格安で食べることができるメリットがあり、提携先の店舗は、廃棄対象の食品から利益を得ることができ、食品ロスを防ぐことにも繋がる。このように、ユーザーと店舗の双方にメリットが生まれることから人気を得ている。

「Too Good To Go」ってどんな会社?

同社は、2015年にデンマーク・コペンハーゲンで創立された。世界規模で問題視されている食品ロスの削減を目指すことから環境問題に取り組みたいという起業家の想いのもと「Too Good To Go」アプリが開発された。2022年現在、ドイツ、イギリス、スペイン、イタリアなどヨーロッパ諸国を中心に15カ国で展開されており、2020年以降ニューヨーク、ボストンなど北アメリカの主要都市でもサービスを開始した。

主な提携先は、レストラン、ベーカリー、スーパーマーケット、ホテルチェーンなど。現在、ヨーロッパ全体で、7万5千以上のレストラン、3万2千以上のベーカリー、3万5千以上のスーパーマーケットとパートナー提携しており、合計1億3千万食以上の食事を消費者に届けている。ドイツ国内においては、2021年の時点で9千以上の店舗と提携し、1千万食以上を消費者に提供した実績を持つ。首都ベルリンでは、大手オーガニックスーパーのBIO COMPANY、ヒルトンホテル、ベーカリーチェーン、タコスショップなどが提携している。

深刻な食品ロス問題に関しては、世界人口が77億人に対して、9人に1人は栄養不足と言われている中、年間約13億トンもの食べ物が廃棄されており、それは、生産される食品の約3分の1に相当する。こういった現象は、食べ物を必要としている人に行き届かないだけでなく、環境にも深刻なトラブルを引き起こしている。破棄された食品は、二酸化炭素やメタンガスを含む温室効果ガスを発生させており、不用な生産のために多くの水が使われることから多くの森林が伐採されている。

アプリの使い方

パートナーシップを組んでいる店舗は、余った食材や食事をアプリ上にリスティングをする。商品名を記載したり、「マジックバッグ」という名前の福袋にまとめて入れることも可能。店舗がピックアップ時間を指定できることから、従業員の負担は最小限に抑えることができる。ユーザーは、アプリから好きな店舗や商品を選択し、指定された時間に商品を取りに行くシステム。支払いはパートナー店舗にて行われる。

実は、筆者もユーザーの1人として同アプリを利用したことがある。難民の受入れを行っているホステルのボランティア活動の一環として、ベーカリーから大量のパンを注文し、必要としている人々に提供することができた。このような需要は、難民受入れを積極的に行っているドイツや低所得者の多く住むベルリンならではかもしれないが、難民、貧困もまた食品ロス同様に解決すべき問題であると言える。

将来への取り組み

「Too Good To Go」は、アプリのシステム開発だけでなく、食品ロスの世界的削減を目指すグローバルムーブメントにも携わっている。このムーブメントには「家庭」、「ビジネス」、「学校と教育」「社会」の4つのピラーがあり、それぞれの分野で違った方向性から食品ロス改善に取り組んでいる。

例えば「家庭」では、食品を買い物に行く前の段階で食事を計画すること、賞味期限のラベリングの意味を正しく理解することや、食品を正しく収納することで保存可能期間を最大限に保つことができることなど、一般家庭内における食品ロス改善法を自社ブログで紹介している。
「ビジネス」においては、飲食業界やスーパーマーケットの、保存可能期間の短い商品の作りすぎや、在庫の抱えすぎ、料理のブッフェスタイル提供など、食品ロスに繋がりがちな問題点の指摘やアドバイスを行っている。

「社会」では、現在定められている賞味期限と日付のラベリングが、ヨーロッパにおける食品ロスの10パーセントの原因になっているとし、見直しを呼びかけている。
数多くの消費者や企業が Too Good To Go社のサービスを肯定的に評価している一方で、企業レビューサイト「Trust Pilot」には一部批判的な意見も寄せられている。ユーザーが利用できるパートナー店舗の少なさ、賞味期限切れ、ユーザーによるキャンセルなどが懸念されている。

これらのフィードバックは今後の課題であり、人にも企業にも環境にも有益であるビジネスモデルとして、より普及されることを目指している。

Too Good To Go
https://toogoodtogo.co.uk/en-gb
https://toogoodtogo.de/de/

Edited by Kana Miyazawa
Text by Fuko Chiba