ベルリンのヴィーガンシェフ、オマー・マンティンのサステナブルキッチン
今ベルリンで活躍中のヴィーガンシェフであるテルアビブ出身のオマー・マンティン。畜産業界での動物の扱い方に疑問を持った事からベジタリアンになり、その後乳製品や卵も食べるのを止め、ヴィーガンになり6年経つと言う。お肉を食べないという選択は、動物だけではなく、環境や食産業そのものにも良い影響を与えると確信している。
女性だけで運営されていたミシュラン一つ星タイレストランKin Deeは彼の才能と創造性、持続可能で無駄の少ない調理テクニックと知識、その哲学を見逃さず、初の男性そしてヴィーガンシェフとして彼を採用。レストランはヴィーガンではないが、ヴィーガンの前菜とデザート、発酵調味料を作るのが彼のここでの役割だ。
サステナブルなキッチンを目指し、ゴミは極力出さない。食材はファーマーから直接買い、全て葉や茎が付いたそのままの状態でもらう。それらをなるべく丸ごと料理に使う。 ルバーブのかたい部分で出汁をとり、それでルバーブを煮てデザートを作る。残った出汁はコンブチャにし、通常は捨てられる葉の部分は、少し手を加え調理すると酸味たっぷりの綺麗なグリーンオイルが出来る。 ヴィーガンキッチンではナッツミルクがよく作られるが、例えば胡桃ミルクで出た出がらしは発酵させ胡桃味噌にする。 ある物を最大限に使って何が出来るかを考える事が、彼の創造性を刺激し、何か違うものを作るモチベーションを保つのに繋がっている。 そして彼が注目しているのが、日本の麹だ。米麹を作るのは、お易い御用だが、自分が住む場所のものを使うのがモットーで、ドイツ産の蕎麦の実などで麹を作り、調味料を作る。感性を活かし意識的に、未来を見据えたクリエイティブな料理で、より良い世界を作りたい。来年は日本の哲学、食文化、昆布の作り方を学ぶために日本に渡る。
そんな彼の創造する世界を今後も追って行きたい。
Kin Dee
https://kindeeberlin.com/en/
Text by Yuka Sagai