フードテックの最先端、ワーヘニンゲン大学の代替肉ラボを訪問

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フードテックの最先端でもあるワーヘニンゲン大学(Wageningen University and Research)を訪問しました。同大学は、1400以上の食品関連企業と研究機関が集まる「フードバレー」の中心的な研究機関としても大きな役割を果たし、食品関連業界をリードする存在。

オランダの有機農業のレポートを書いていたことから知り合った、同大学院生ティアン・ユーさんに案内してもらいました。

まずはキャンパス内にある未来レストラン(Restaurant of the Future)にてランチ。

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未来レストランはセルフサービスの食堂で、以前は同意の元、お客さんをビデオカメラやセンサーでモニタリングして、何をどう選ぶかや、摂取カロリーや購入までのルートや時間がデータ化されていました。ですがつい最近、モニタリングをやめて普通のカンティーンになったそう。

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人工肉(代替肉)の研究をしているシャオジュン・ワンさんと、フードバレー・アンバサダー(フードバレー関連企業のインターン)のユアン・リーさん、そして日本から視察で来ていた東京大学農学部の蝦谷さんとともにランチ。

午後、人工肉ラボを案内してもらうことに。

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オフィスとラボが入ったビル。

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コーヒーエリアにて、スライドを見せてもらいました。彼女たちチームの人工肉の研究は「いかに本物に近い食感を作れるか」を目指して進められていて、実際の味などはその先の話で、これは企業側が決めていくようです。シャオジュンさんたちは牛乳を材料として、他のメンバーは大豆などの植物性タンパクを原料として研究を進めています。過去の同大学の研究や他研究所では、動物から採取した幹細胞を培養して人工肉を作っていましたが、MADE IN 実験室の肉を食べるのは気持ちの上でなかなかハードルが高い人も多く、「プラントベース(植物性)が現在のトレンド」とのことでした。

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この研究には、2017年にユニリーバ、フランスのジボダンなどの大企業が参入したことから、ニーズの大きさとマーケットの可能性を感じさせます。

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10年前、偶然見つかった製法を元にしている。この特殊な機械の円錐状のところへいれると、牛乳に含まれる酵素がタンパク質とくっついて繊維状となる。まだ研究最中だが、1都市に一番大きな機械を1つ設置して毎日稼動すれば、地産地消できるとのこと。写真は中間の大きさのもの。

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この先は撮影禁止なので、その代わりに全景の写ったこのタペストリーを。ラボにある3種類の機械のうち、一番大きなものを見せてもらったが、これを使うと1回の稼働で7kgの人工肉を作ることができるという。

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ラボでは「より本物の肉に近い食感」を求めて研究していますが、そもそも「肉を食べたいと思わない」ヴィーガンやベジタリアンの人にとっては、あまり重要でないことであったりします。ですが、2050年に90億人みんなが食べていけるようにと考えていくと、「わかっちゃいるけど肉を食べたい」という大勢の人へ向けた合理的な商品として有効な気がしました。

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オフィスに貼ってあったポスター。1969年に作られたものだが「肉食を減らそう」というスローガンとともに「地球にとっての無駄を減らせるから」「1kgの肉は8kgの農産物と同じ値段」などと書かれている。

2018年3月
Special thanks to Tian Yu, Zhaojun Wang, Yuan Li, Natsumi Ebitani and Kanta Nakano